2025/01/13

『十訓抄』一ノ十四の補足

『十訓抄』一ノ十四は、「日本古典文学全集(以下、古典全集)」の頭注に基づくと、この逸話に登場する人物の身元がある程度特定されるようなのですが、それぞれの人物に関する情報がほとんど見つからないので、こちらでまとめて補足とさせていただきます。

●登場人物
・花山院のたれとかや・頭中将=花山院宣経…こちらに記したとおりです。wikiにもうちょい詳しい記事が一応ありました。
・閑院にて同じく中将なる人=藤原実忠/ふじわらのさねただ…生没年不詳。鎌倉時代の官人。父は藤原公明。
・内侍の中にたれとかや=後深草院少将内侍(?)/ごふかくさいんのしょうしょうのないし…「古典全集」には「少将内侍」とあるのですが、調べてみると、「後深草院少将内侍」の呼称で掲載されているようです。鎌倉時代の女官。父は藤原信実で、父から歌を学び、和歌にも優れていた人物。藻璧門院少将、弁内侍という二人の姉がいて、この人たちも歌人として有名だったそう。この逸話の「内侍」を、姉の藻璧門院少将とする説もある模様。
・ある雲客=藤原永継/ふじわらのながつぐ(でいいの??)…「古典全集」の頭注にある程度位階や官職などの記載があるのですが、ここ以外に情報が掲載されたものが見つからず…です。
・藤原勝臣/ふじわらのかちおむ=平安時代前期の官人。「同じ枝をわきて木の葉の色づくは西こそ秋のはじめなりけれ」という歌が『古今和歌集』秋下に収められています。

後深草院少将内侍は、藤原勝臣の古歌を念頭に紅葉の話を持ち出し、宣経たちもその意図を瞬時に汲んで応答した、という、彼らの教養を示すお話でした。


※『宇治拾遺物語』の時点では詳細不明の人物もサイト内にページを立てて掲載していたのですが、スカスカのページを置いとくのもどうかという気がしてきて、どうしようかな…。要検討だなあと思う今日この頃です。

『十訓抄』一ノ十四の補足

『十訓抄』一ノ十四 は、「日本古典文学全集(以下、古典全集)」の頭注に基づくと、この逸話に登場する人物の身元がある程度特定されるようなのですが、それぞれの人物に関する情報がほとんど見つからないので、こちらでまとめて補足とさせていただきます。 ●登場人物 ・花山院のたれとかや・頭中...