2022/04/27

使える言葉 使えない言葉

小学1年生の国語教材を改訂していたときのこと。
促音の単元で、「きっぷ(切符)」という言葉を取り上げようとしたら、先方様から「今はICカードが主流になっているから、切符がわからない子どもがいる。避けたほうがよい」旨のご指摘をいただきました。
そうか…そんなもんか…確かに自分も券売機で切符を買う、という行為自体、滅多にしなくなっているし、さもありなんと思ったので、速やかにほかの言葉に差し替えたわけです。
 
で、先日、某テレビ番組を見ていたら、鉄道の歴史についての特集をしていて、歴代の切符をずらりと並べたものが出てきた。(「見ていた」と言いなつつ、ほかのことをしながらだったので、このへんちょっとうろ覚えです)
その流れで、出演していたアナウンサーが、「私、券の形の切符見たことないんです」みたいなことをおっしゃった。(うろ覚え)
そのアナウンサーは、たぶん20代前半から半ばくらいかと拝察したのですが、そうか…それくらいの年代で、いわゆる「切符」はもはや遠い存在なのか…と思って衝撃を受けたとともに、「きっぷ」という言葉は使えない、ということを、まざまざと思い知ったのでした。
 
特に低学年向けだと、平易な言葉を使おうと心がけるので、自ずと使える言葉が限られてくるわけですが、限られた「使える」の範囲がどんどん狭まってきそうで悩ましい話。また、こういう社会のシステムの変化にともなう語彙の変化にも、敏感でなければならないなあと、そんなことも思いました。

2022/04/10

「伝不詳」の人物の扱い

現状「古典作品登場人物名鑑」中に載せている人物には、経歴が伝わっておらず、各書籍の注釈の中でも「伝不詳」とされている人がたくさんいます。『宇治拾遺物語』のような説話集は身分が高いとはいえない人物も頻繁に登場するので、貴族のように記録の残りやすい人物よりも事跡が伝わらないのはまあ、そうですよね、という感じ。で、いたしかたないので「伝不詳」はそのまま「伝不詳」と記載しているのですが。
そもそも「伝不詳」の人物を載せるか?というのは一度ならず悩んだところです。そういうマニアックな人物を調べたいと思う人はいらっしゃるのかしら。
でも、もしかしたら、今後の研究で今は不詳とされている人についても何かわかってくるかもしれないし、もしも、もしも、余裕ができたら、自分で調べてみたい…という気持ちも心の片隅にはある。
それに、不詳だとしても、身分の高い人でなくても、その人が存在した証のようなものが作品の中に残されているのではないかなとも思うので、「伝不詳」は「伝不詳」として、今後とも掲載していくつもりでいます。

更新しました

PC不調事件も一応落ち着き、サイトの更新も再開しました。 『枕草子』に出てくる人物はひととおり網羅したはず…なので、次は『 十訓抄 』です。 わーい説話♪(趣味に走る) 『枕草子』のほうにも補足したいことがあるので、追い追いこちらのブログのほうに記そうと思います。